③ 注意すべき選挙違反(リスクを知る)

法律

2017年 第48回衆議院議員総選挙公示2日前の警告件数

警告の内訳 件数
一部の場所に集中して多数のポスターを張るといった「文書掲示」 483
有権者に投票を依頼するような文書を配る「文書頒布」 33
名前を連呼するといった「言論」 17
インターネットを利用した違反は、公示前に事前運動をするなど 4
内訳
ホームページ・ブログ 1
会員制交流サイト(SNS) 3
合計 537

2017年 第48回衆議院議員総選挙における公職選挙法違反事件の検挙件数

罪種 件数 人員
買収 20 24
自由妨害 10 11
文書違反 2 3
詐偽投票等 1 1
投票干渉 1 1
投票偽造 1 1
その他 6 5
合計 41 46

2017年 地方選挙における公職選挙法違反事件の検挙件数

罪種 件数 人員
買収 27 36
自由妨害 12 8
文書違反 6 7
詐偽投票等 2 2
投票干渉 0 0
投票偽造 0 0
その他 20 19
合計 67 72

主な公職選挙法違反

〇戸別訪問(公職選挙法 第百三十八条 第1項、第2項)
第一三八条 何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。
2 いかなる方法をもつてするを問わず、選挙運動のため、戸別に、演説会の開催若しくは演説を行うことについて告知をする行為又は特定の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称を言いあるく行為は、前項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。
〇文書違反(公職選挙法 第二百四十三条第)
(選挙運動に関する各種制限違反、その一)
第二四三条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
三 第百四十二条の規定に違反して文書図画を頒布した者
三の二 第百四十二条の四第二項(同条第三項において読み替えて適用される場合を含む。)又は第五項の規定に違反して選挙運動用電子メールの送信をした者
三の三 第百四十二条の六の規定に違反して広告を文書図画に掲載させた者
四 第百四十三条又は第百四十四条の規定に違反して文書図画を掲示した者
五 第百四十六条の規定に違反して文書図画を頒布し又は掲示した者
五の二 第百四十七条の規定による撤去の処分(同条第一号、第二号又は第五号に該当する文書図画に係るものに限る。)に従わなかつた者
六 第百四十八条第二項又は第百四十九条第五項の規定に違反して新聞紙又は雑誌を頒布し又は掲示した者
七 第百四十九条第一項又は第四項の規定に違反して新聞広告をした者
八 削除
八の二 第百六十四条の二第一項の規定に違反して立札若しくは看板の類を掲示しなかつた者又は同条第二項若しくは第四項の規定に違反して文書図画を掲示した者

〇贈収賄(公職選挙法 第二百二十一条)
(買収及び利害誘導罪)

第二二一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し前項の罪を犯したときも、また同様とする。
3 次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 公職の候補者
二 選挙運動を総括主宰した者
三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者

主な禁止事項と罰則

公職選挙法での禁止事項または罰則は以下の通りです。
第百三十五条(選挙事務関係者の選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十六条(特定公務員の選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十六条の二(公務員等の地位利用による選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十七条(教育者の地位利用の選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十七条の二(年齢満十八年未満の者の選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十七条の三(選挙権及び被選挙権を有しない者の選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十八条の二(署名運動の禁止)条文はこちらへ
第百三十九条(飲食物の提供の禁止)条文はこちらへ
第百四十条(気勢を張る行為の禁止)条文はこちらへ
第百四十条の二(連呼行為の禁止)条文はこちらへ
第百四十一条の三(車上の選挙運動の禁止)条文はこちらへ
第百四十六条(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)条文はこちらへ
第百四十七条(文書図画の撤去)条文はこちらへ
第百四十七条の二(あいさつ状の禁止)条文はこちらへ
第二百一条の十四(選挙運動の期間前に掲示されたポスターの撤去)条文はこちらへ
第二百二十一条(買収及び利害誘導罪)条文はこちらへ
第二百二十二条(多数人買収及び多数人利害誘導罪)条文はこちらへ
第二百二十三条(公職の候補者及び当選人に対する買収及び利害誘導罪)条文はこちらへ
第二百二十三条の二(新聞紙、雑誌の不法利用罪)条文はこちらへ
第二百二十四条(買収及び利害誘導罪の場合の没収)条文はこちらへ
第二百二十四条の二(おとり罪)条文はこちらへ
第二百二十四条の三(候補者の選定に関する罪)条文はこちらへ
第二百二十五条(選挙の自由妨害罪)条文はこちらへ
第二百二十六条(職権濫用による選挙の自由妨害罪)条文はこちらへ
第二百二十七条(投票の秘密侵害罪)条文はこちらへ
第二百二十八条(投票干渉罪)条文はこちらへ
第二百二十九条(選挙事務関係者、施設等に対する暴行罪、騒擾罪等)条文はこちらへ
第二百三十条(多衆の選挙妨害罪)条文はこちらへ
第二百三十一条(凶器携帯罪)条文はこちらへ
第二百三十二条(投票所、開票所、選挙会場等における凶器携帯罪)条文はこちらへ
第二百三十三条(携帯兇器の没収)条文はこちらへ
第二百三十四条(選挙犯罪の煽動罪)条文はこちらへ
第二百三十五条(虚偽事項の公表罪)条文はこちらへ
第二百三十五条の二(新聞紙、雑誌が選挙の公正を害する罪)条文はこちらへ
第二百三十五条の三(政見放送又は選挙公報の不法利用罪)条文はこちらへ
第二百三十五条の四(選挙放送等の制限違反)条文はこちらへ
第二百三十五条の五(氏名等の虚偽表示罪)条文はこちらへ
第二百三十五条の六(あいさつを目的とする有料広告の制限違反)条文はこちらへ
第二百三十六条(詐偽登録、虚偽宣言罪等)条文はこちらへ
第二百三十七条(詐偽投票及び投票偽造、増減罪)条文はこちらへ
第二百三十七条の二(代理投票等における記載義務違反)条文はこちらへ
第二百三十八条(立会人の義務を怠る罪)条文はこちらへ
第二百三十八条の二(立候補に関する虚偽宣誓罪)条文はこちらへ

第二百三十九条(事前運動、教育者の地位利用、戸別訪問等の制限違反)条文はこちらへ
第二百三十九条の二(公務員等の選挙運動等の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十条(選挙事務所、休憩所等の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十一条(選挙事務所設置違反、特定公務員等の選挙運動の禁止違反)条文はこちらへ
第二百四十二条の二(人気投票の公表の禁止違反)条文はこちらへ
第二百四十三条(選挙運動に関する各種制限違反、その一)条文はこちらへ
第二百四十四条(選挙運動に関する各種制限違反、その二)条文はこちらへ
第二百四十五条(選挙期日後のあいさつ行為の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十六条(選挙運動に関する収入及び支出の規制違反)条文はこちらへ
第二百四十七条(選挙費用の法定額違反)条文はこちらへ
第二百四十八条(寄附の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十九条(寄附の勧誘、要求等の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十九条の二(公職の候補者等の寄附の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十九条の三(公職の候補者等の関係会社等の寄附の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十九条の四(公職の候補者等の氏名等を冠した団体の寄附の制限違反)条文はこちらへ
第二百四十九条の五(後援団体に関する寄付等の制限違反)条文はこちらへ
第二百五十条(懲役又は禁錮及び罰金の併科、重過失の処罰)条文はこちらへ
第二百五十一条(当選人の選挙犯罪による当選無効)条文はこちらへ
第二百五十一条の二(総括主宰者、出納責任者等の選挙犯罪による公職の候補者等であつた者の当選無効及び立候補の禁止)条文はこちらへ
第二百五十一条の三(組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪による公職の候補者等であつた者の当選無効及び立候補の禁止)条文はこちらへ
第二百五十一条の四(公務員等の選挙犯罪による当選無効)条文はこちらへ
第二百五十二条の二(推薦団体の選挙運動の規制違反)条文はこちらへ
第二百五十二条の三(政党その他の政治活動を行う団体の政治活動の規制違反)条文はこちらへ
第二百五十三条(選挙人等の偽証罪)条文はこちらへ
第二百五十五条の四(偽りその他不正の手段による選挙人名簿の抄本等の閲覧等に対する過料)条文はこちらへ

政治資金規正法に違反した場合の主な罰則

政治資金規正法に違反した場合の主な罰則には、下記のものがあります。

違反の内容 罰則
無届団体の寄附の受領、支出の禁止違反 5年以下の禁錮、100万円以下の罰金
収支報告書の不記載、虚偽記載
(重過失の場合を含む)
5年以下の禁錮、100万円以下の罰金
政治資金監査報告書の虚偽記載 30万円以下の罰金
政治資金監査の業務に関して知り得た秘密の秘密保持義務違反 1年以下の懲役、 50万円以下の罰金
寄附の量的制限違反 1年以下の禁錮、50万円以下の罰金
寄附の質的制限違反 3年以下の禁錮、50万円以下の罰金など
あっせん、関与の制限違反 6月以下の禁錮、30万円以下の罰金

公民権停止

政治資金規正法に定める罪(政治資金監査報告書の虚偽記載、政治資金監査の業務等に関して知り得た秘密の秘密保持義務違反を除く。)を犯した者は、公職選挙法に関する罪を犯した者と同様、下記の期間、公民権(公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権)が停止されます。

① 禁錮刑に処せられた者
裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間とその後の5年間

② 罰金刑に処せられた者
裁判が確定した日から5年間

③ これらの刑の執行猶予の言い渡しを受けた者
裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間

なお、政治資金規正法違反によりその公民権を停止される場合においては、あわせて
選挙運動も禁止されます。

没収、追徴

寄附の量的、質的制限等違反による寄附に係る財産上の利益については、没収又は追徴されます。
また、匿名による寄附及び政治資金団体に係る寄附で振込みによらないでなされたものについては、国庫に帰属し、その保管者等が国庫に納付することとなります。

連座制

連座制とは、候補者(立候補予定者)と関係の深い人(下記の「連座制の対象者と適用事由」を参照)が買収罪などの選挙違反で刑に処せられた場合は、たとえ候補者(立候補予定者)がその行為に関わっていなくても、その選挙の当選を無効とし、一定期間の立候補を制限する制度です。(公職選挙法第二百五十一条の二から第二百五十一条の四

連座制の対象者と適用事由

悪質な選挙違反で、次の対象者が該当する刑に処せられた場合、連座制が適用されます。

対象者 適用事由
1 選挙運動の総括主宰者 罰金以上の刑に処せられた場合(執行猶予を含む)
2 出納責任者
3 選挙運動の地域主宰者
4 候補者か立候補予定者の親族 禁錮以上の刑に処せられた場合(執行猶予を含む)
5 候補者か立候補予定者の秘書
6 組織的選挙運動管理者など

※親族:父母、配偶者、子や兄弟姉妹
※秘書:候補者に使用される者で候補者の政治活動を補佐する者
※組織的選挙運動管理者:候補者と意思を通じ合わせて組織的に行う選挙運動で、その選挙運動の計画立案・調整やその選挙運動に従事する者の指揮・監督、その他の選挙運動を管理する者

連座制の効力

1 当選の無効 候補者の当選が無効です。
衆議院議員選挙で小選挙区と比例代表選出議員に重複立候補した場合、小選挙区選出議員選挙に連座制が適用されると、比例代表選出議員選挙での当選も無効です。
2 立候補の制限 5年間、同一選挙・同一選挙区から立候補できません。
3 選挙権・被選挙権の停止 例外を除き、選挙違反で刑罰を科せられた者は、一定期間、選挙権・被選挙権が停止され、停止期間中は投票も立候補もできません。

連座制の免責

組織的選挙運動管理者などが買収罪などで、禁錮以上の刑(執行猶予を含む)に処せられた場合でも、次の場合は連座制が適用されません。

1 買収などの行為が「おとり」の場合 「おとり」とは、連座制で当選無効や立候補が制限されることを目的に、他の候補者(立候補予定者)陣営の連座制適用対象者を誘導するか挑発し選挙違反をさせること
2 買収などの行為が「寝返り」の場合 「寝返り」とは、連座制で当選無効や立候補が制限されることを目的に、連座制適用対象者が、他の候補者(立候補予定者)陣営で選挙違反すること
3 監視・監督が十分にあった場合 候補者(候補予定者)が、組織的選挙運動管理者などが買収などの行為をしないよう、相当の注意を怠らなかった

その他

政治資金規正法≪第六章 罰則≫の条文はこちらへ

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