⑤福島を中心とする日本周辺海域を実験台にしないでください

 菅首相の2023年海洋放出方針では、海洋放出の環境への影響を懸念する国内外の声に対し、ICRPの2029年以降の「ヒト以外の生物種」を対象とした環境防護基準策定を待たずして、ヒトを防護の対象としたICRP1990年主勧告に基づき定められている我が国の規制基準を遵守することのみ記載しているに過ぎません。

 繰り返しになりますが、「ヒト以外の生物種」を対象とした環境防護について、菅首相の2023年海洋放出方針は、東京電力がUNSCEAR、IAEA、ICRP等の国際機関の協力を得て実施するとしていますが、政府関係者によれば、これは、国際機関に福島を中心とした日本周辺海域が環境防護の国際基準策定の基礎データを提供することを約束したことになっています。

 「ヒトの防護の規制基準」の基礎となった広島・長崎の被害者に加え、「ヒト以外の生物種」を対象とする環境防護の国際基準づくりに福島第一原発の海洋放出のデータを提供しようとすることは、福島を中心とした日本周辺海域でのヒト以外の生物種の被害状況を実験台に使用する試みであり、強く反対します。

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